虫歯予防〜フッ素(フッ化物)の効果
虫歯予防 ~フッ素について~
よく耳にするフッ素、みなさんはどのくらいご存知ですか?
フッ素配合歯磨き剤や、虫歯予防として歯科医院でフッ素を塗ってもらったなどというご経験はありますか?
今回はフッ素について詳しく説明します。
①フッ素とは?
フッ素は私たちが普段口にする食品に含まれている栄養素の1つです。
自然のものであり、地中、海水、河川、人間の体、植物、動物、魚介類、お茶の葉などにも必ず含まれています。
フッ素が含まれていない飲食物は私たちが生活するうえで存在しないと言われてるくらいです。私たちは身近なところでフッ素と触れているのです。フッ素は歯を強くする効果があるので虫歯の予防として用いられてます。
②フッ素は虫歯予防に効果的な理由
虫歯の過程は、まずプラーク(歯垢)の中にいる虫歯菌が炭水化物や糖分をエサにして酸を作り出して歯の表面のエナメル質(ハイドロキシアパタイト)を溶し、虫歯になります。
それに対し、フッ素(フッ化物イオン)はハイドロキシアパタイトの構造体(水酸基、リン酸、カルシウムなど)の弱点である水酸基が酸と結びつき構造体が崩壊するのを水酸基と置き換わって非常に安定したフルオロアパタイトに変化します。
[Ca10(PO4)6(OH)2]→[Ca10(PO4)6(OH)F]
フッ化物イオンは酸と結びつきにくい為、虫歯菌が出す酸の働きを邪魔して酸から守られ歯が丈夫になり虫歯予防になるのです。
そして、初期段階の小さな虫歯であれば唾液中のカルシウムで修復することもあり、フッ素が加わることによってより再石灰化が高まり虫歯の進行を防いでくれる効果もあります。
③フッ素はどのような方に効果的?
・4歳から15歳くらいの子供
生えたての乳歯や永久歯はエナメル質が弱く、未熟のためこの時期に虫歯になってしまうことが多いです。生えたての歯にはフッ素を塗ることで虫歯予防に繋がります。
・15歳以上から成人
歯と歯の間や歯の噛む面(溝)は虫歯にとてもなりやすいです。歯ブラシとデンタルフロスを使用しさらにフッ素を塗ると虫歯予防になります。
・矯正治療中の方
矯正治療中は装置がついているため食べた物もつまりやすく、とにかく磨きにくく、虫歯になりやすい環境になります。
矯正治療中の方はメインテナンスとフッ素で虫歯予防をしましょう。
・高齢者の方
高齢になるにつれ、歯茎は少しずつ下がっていきます。さらに唾液の分泌量も減少してしまうため、根面(歯の根元)に虫歯ができやすくなります。根面にフッ素を塗り虫歯予防をしましょう。
④フッ素の種類
フッ素には歯科医院で使用するものと、自宅で使用できるものがあり、違いはフッ素の濃度です。
歯科医院で使用するフッ素の濃度は自宅で使用できるフッ素より高く、歯科医院でしか使用できません。
一般で使用できる濃度は1000ppmまでと薬事法で決まっており、歯科医院で使用している濃度は9000ppmです。
自宅での使用と共に定期的に、歯科医院でフッ素を塗布することによってより効果が、得られます。
フッ素の種類には主に、フッ化物配合歯磨剤、フッ化物歯面塗布があげられています。
1.フッ化物配合歯磨剤・・・普段使用する歯磨き粉のことです。現在流通している約9割の歯磨き粉にはフッ素が配合されていると言われています。濃度は約950ppm。
フッ化物配合歯磨剤を使用した後はなるべく口をゆすぎすぎないようにすると歯の表面に浸透し、フッ素効果が高まります。
2.フッ化物歯面塗布・・・歯科医院で塗るフッ素のことです。歯の表面に直接フッ素を塗り数分停滞させます。9000ppmを使用しているのでかなり効果が高くなります。
定期的なクリーニングの後や、お子様の虫歯予防としてフッ化物歯面塗布を行います。
フッ素を塗った後は30分の飲食を控えて頂きます。
⑤最後に・・・
フッ素はあくまでも虫歯予防の1つとして行われています。フッ素を使用しているから虫歯にならないというわけではありません。
毎日の食生活や歯磨き習慣をしっかりした上でフッ素を使用し虫歯予防をしていきましょう。
またフッ素にも副作用があり、大量に摂取すると中毒を起こすことがありますが、日常での食生活や、歯磨き粉ではフッ素量が少ないため問題ありませんのでご安心ください。
お子様の生え途中の歯、虫歯になりやすい方、矯正治療中の方、高齢者の方はぜひ一度歯科医院でフッ素塗布をお勧めします。