喫煙が歯に及ぼす影響〜タバコと歯の関係〜
喫煙が歯に及ぼす影響~タバコと歯の関係~
遥か昔から存在するタバコ、2003年(平成15年)健康増進法が施行されてから喫煙場所は減少し、喫煙者は徐々に減少傾向になっているといわれています。
タバコは体に有害であり、癌や循環器病などさまざまな病気を起こしやすく、口腔内にも影響を与えてしまいます。
今回はタバコと歯の関係について説明致します。
- タバコに含まれてる成分
約4000種類の科学物質が含まれており、そのうち約200種類が有害物質であり、発がん性物質は約60種類以上に及ぶと言われています。
タバコの有害物質と言えばよく耳にする、ニコチン、タール、一酸化炭素です。その他にも、アセトン、ヒ素、カドミウムなど、体に悪影響を与える物質が含まれています。
そしてタバコは喫煙者が吐き出す煙によって
副流煙が発生し、不特定多数の非喫煙者、未成年の方などが被害を受けます。
有害物質であるニコチンには依存性もあり、自律神経に作用する物質ともいわれています。タバコが辞めたくても辞められなくなってしまっている方はこのニコチンが含まれていることも原因の1つになります。ニコチン自体には発がん性物質は認められていませんが、化学物質では毒物として扱われていますので大変依存性が高く、危険な物質なのです。
2.タバコは口腔内にも悪影響を及ぼす
①歯周病になりやすい
健康な歯肉は血液から栄養や酸素が運ばれていますが、タバコを吸うことによりニコチンは血管の神経毒作用といわれており、血管を収縮してしまうので歯肉に必要な栄養、酸素が運ばれにくくなり、血液の流れが悪くなってしまうので老廃物の排出も困難になってしまいます。
喫煙の期間が長ければ長いほど歯肉は固くなり、やがて炎症していても出血が減少してしまう状態になります。炎症を起こすことにより細菌と戦おうと体が反応し、出血として体から出るのですが、出血を伴わないことにより歯周病になってしまっても症状に気づきにくいのです。
歯周病は、出血がサインですから出血が出ない=健康な歯肉と思われてしまいます。
②歯肉が黒くなる
健康な歯肉はサーモンピンクのような色をしていますが喫煙することにより、タバコのメラニン色素で歯肉が黒くなってしまいます。このことをメラニン色素沈着といいます。黒くなると本来の歯の白さが目立ちにくくなり、暗い口元の印象になってしまいます。
歯肉の色はなかなか修復することはありません。
③歯が黒くなる
原因はタバコのヤニです。
歯の表面にヤニがつき、歯全体が黒くなります。ヤニがついてしまうことによって歯の表面は粗造になりますので、その他の汚れ(歯垢や歯石)も付着しやすくなってしまいます。
3.タバコをやめたら元に戻るの?
禁煙したら徐々に回復傾向にはなります。
しかし喫煙の期間が長ければ長いほど回復は遅く、回復するには喫煙していた期間が必要と言われています。
禁煙してもすぐには回復しないため、歯周病も気付きにくいのでタバコをやめたからといって歯周病が治るというわけではありません。
⑤最後に
タバコは口腔内以外に体にも害がある危険な毒物です。
医科では喫煙者への喫煙支援が保険適応とされ、禁煙外来など治療法がありますが歯科ではまだ保険適応外です。その中でも多くの患者様が、健康でいられるようにタバコでの害を無くすために歯科でも禁煙支援を行うことは必要であると考えています。
口腔内ではステイン(歯についた着色)や歯肉の色の変化、歯肉の硬さなどで、タバコの影響を視覚的に示しやすいことから、歯科医院が禁煙支援のきっかけの1つになれれば良いなと思います。
タバコと歯科が関係していることはなかなか多くの方にはまだ知られていません。
定期的な歯の検診は今後の歯の健康を守る上で大切なことであり、喫煙者はより検診をしっかり受けて下さいね。
自分の健康は自分で把握し守っていきましょう。