MRIとCTについて 〜インプラント治療との関係〜

MRIとCTについて 〜インプラント治療との関係〜

MRIとCTについて   〜インプラント治療との関係〜

MRIとCTについて

~インプラント治療との関係~

 

 

健康診断や精密検査等で使用するMRIとCTについて説明します。

 

 

【MRIとCTの比較】

 

    

CT

MRI

撮影の原理

X線

磁気

放射線被曝

あり

なし

適応部位

歯・骨・脳・肺・腹部など

脳・脊髄・内臓・筋肉・関節・靭帯など

撮影時間

短い(約3~5分)

長い(約15~30分)

適応病変

肺がん、肺炎、結核、胆石、頭部外傷、くも膜下出血、脳出血

脳梗塞、脳腫瘍、脳血管障害、椎間板ヘルニア、肉離れ、靱帯損傷、

禁忌

緊急を用しない妊娠女性

体内にペースメーカーや、金属が入っている方、閉所恐怖症(狭いところに長時間いるため)

 

 

 

 【MRI(magnetic resonance imaging)とは?】

 

MRIとは強い磁力により体内の水素原子を震えさせて、発生する電波信号を受信し画像に変換、構成する装置です。

 おもに水分を多く含む臓器や血管などの柔らかい組織の診断に適応されています。

 

強力な磁場を発生する装置であるため、身につけている金属を含む装飾品、電子機器が壊れてしまったり、金属周囲などの画像が乱れる現象(アーチファクト)が起こりやすく、診断の妨げにもなる事から検査時は、金属を含む装飾品は全て外すよう指示されます。 

体内にペースメーカーや動脈瘤治療に用いられるクリップなどが入っている方は受けられません。

 

MRIはCTと違いX線を使用しない為、放射線被爆が無いので安心して妊娠女性や子供も撮影できます。

デメリットは狭い空間で長時間撮影するため、閉所恐怖症の方や平常心が保てない方は撮影が困難になってしまうことです。

 

 

【MRI検査によるインプラントへの影響はあるの?】

 

現在使われているインプラントは純チタンが多く、常磁性体という金属であり、磁力に引き寄せられる力は非常に弱いといわれています。

 

現在、歯科で使用されているインプラントは骨に埋まっているインプラント体にネジで固定されている、またはネジとセメントを使って固定されている上部構造が、緩んでいないかMRI撮影前に歯科で検診してもらう必要があります。また、患者本人が着脱可能なインプラント上部構造は、インプラントと人工歯を磁石を使用して連結させていることがあるので、その場合は、歯科医院にて予め、磁石を外すことが必要なケースもあります。

 

インプラント治療をしている事でMRI検査が受けられない事はないが、事前の歯科検診とご自身のインプラントのタイプをしっかりと把握しておくことが必要であると言えます。

 

【CT(computed tomography)とは?】

 

X線を出す管球とX線を受け取る検出器を患部中心に回転させながら撮影する事により得られる輪切り画像をコンピュータにより構成する装置です。

 

 

撮影の方法によってはいろいろな角度の断面を作成することができます。断面画像からは体の各臓器の形態、位置、大きさなど細かいところまで精密に確認することができます。

 

X線の影響に関しては、CT撮影部位により530mSv(ミリシーベルト)の線量を受けます。100mSv以下では“放射線による発がん”と“生活習慣による発がん”の区別はできないといわれていますので、年に3回までは影響は全く無いと考えていいと言えます。また、CTを撮らなかったことによる病気のリスクを考慮した場合は、年3回以上撮影する事も必要であると言えます。

妊娠している方に関しては、少なからず放射線を被曝する為、緊急性のない場合CT検査を行いません。

 

【歯科用CTについて】

 

近年、歯科用CTが普及した事により従来は大学病院の様な大規模病院または、検査専門(MRI,CT検査等)病院でしか、撮影できなかったCTが個人の歯科医院で比較的安価(病状によっては保険内)で撮影、診断出来るようになりました。

顎の骨、歯牙の立体的な形態や、神経の走行、位置把握、等が確認できます。

おもにインプラント治療、根管治療、歯周病治療、親知らずの抜歯、歯列矯正治療などの診断に使用されています。インプラント治療では、使用するインプラントのサイズ、埋入位置を精密にプランニング出来る様になり、インプラント治療の安全性、予知性が飛躍的に向上しました。また、根管治療においても歯根の立体的な情報、歯根の周囲骨の吸収状態を把握できるようになり難治性の原因も特定しやすくなりました。

放射線被曝に関しては、医科用と比較して撮影法、範囲等が異なる為、0.1mSv/1回と少なくより安全と言えます。

 

 

【最後に】

 

健康診断、定期検査、人間ドックなど受診する際にはご自身の体の状態を医師に説明できるように把握しておくことが大切です。

 

自らの健康を守るためにも、まずは自分自身の体と向き合うことが予防の第一歩となります。